突然ですがデザインの話です。
【長崎訓子さんイラスト、池田進吾さん装丁】は美大時代の私にとってゴールデンコンビで、この本もいわゆるジャケ買いでした。池田進吾さんデザインの本は、特にファンでよく読んでおりました。
「カラフル」は年月を経た今も、楽しく読んだという思い出が色濃くて、先日読み返してみたのです。
もうやっぱり、かなりの名作だと思いました。
物語はというと、主人公である中学生の男の子「ぼく」が、亡くなってしまうところから始まります。
しかし生前の罪により、「ぼく」の魂は輪廻のサイクルからはずされます。そんな中、天使業界の「くじ」に当選したことで、人生を再挑戦するチャンスを得ました。
(ちょっと???かと思いますが、この物語の設定はファンタジーなんです…付いてきてください…)
そのタイミングでいままさに自殺を図った「真」の体に魂をうつし、自分の罪がなんであったかを思い出さなければいけないという課題を与えられた「ぼく」は、「真」を通じて新たに学生生活を送るのでした。
ファンタジーであることをのぞけば結構重い設定です。ぼくの罪はなんなのか。真はどんな人生をここまで歩んできて、なぜ自殺を図るのか。
全てを知っている天使の「プラプラ」が相棒で、時折ヒントをくれたり、気づきを導いてくれます。
真の家族、好きな子、クラスメイトたちとの関わりは、「ぼく」が乗り移ったことで変化していきます。
まず明るくなります。
「ぼく」はこの地点では相変わらず生前自分が何をしたのかはわからないのだけど、何せ“仮の、他人の人生”なので吹っ切れているのです。
真は生前にいろんなことを繊細にとらえ、自分の世界に閉じこもっていたようで、それが「特別なこと」だと強く思う、言って見れば「思春期真っ只中」だったようです。クラスでも浮いていた存在のようでした。
けれどそういった価値観って、私も経験がありますが、なにかふとしたきっかけ一つでくるりとひっくり返ってしまう。「特別なこと」がそうでもなくなったりする。
「自分らしく生きる」って、「普通」って、なんだったかな。
「真」も「ぼく」も、それが揺さぶられる年代のど真ん中なのですね。
私はやっぱり、スニーカーを買うシーンが好きだなあ。
真が外見で垢抜けしていき、周りの真を見る印象も変わっていく様子が描かれていますが、読んでいてこっちまで気持ちが軽くなります。
さて、物語はここからが大事です。「ぼく」の罪とは。真の自殺の原因とは。
様々なことが紐解かれていく後半の部分は、ほんとうに読んでいて楽しいです。
重い設定ですが文体や展開はポップで、全体的に明るい世界観があるところが、私はすごく好きです。
なんだか垢抜けた音楽を聴いているかのような。
まさにオシャレな【長崎訓子さんイラスト、池田進吾さん装丁】がピッタリなのです。
幅広い世代に読んで欲しい名作だと思うのですが、特に、同世代の中学生くらいの子には最も刺さるのでは…
親子の衝突、親の苦悩、子の苦悩も細かく描かれており、思春期のお子さんを持つ親御さんが読んでもおもしろいのではと思います。
アニメ化、実写映画化もされておりそちらは未見なのですが、特にアニメはジャケットが素敵なので、いつか見てみようかな。
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marble marble マーブルマーブル
- イラストレーターです。日々気になったことをテーマに問わずブログにしています。マーブルチョコのようなカラフルで雑多なブログを想定し、「marble marble マーブルマーブル」としました。純喫茶、マッチ、散歩、昭和の建物、昭和歌謡、片付け、スケジュール帳などが好きです。コメント欄がありません。ご感想などはこちらまで→marble●tellacoli.com(●→@)
- イラストサイト:http://tellacoli.com/
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