てんとてん

喫茶好きのイラストレーターの日常ブログ。てんからてんへ、ぼんやりとした日々。

原宿の喫茶店『コロンバン』と国立・国分寺の喫茶巡り『でんえん』『アミー』『ロージナ茶房』『シュベール』

ある1日。
原宿でのできごと。
原宿の『コロンバン』に行ってみた時のことです。コロンバンは、札幌に住んでいる時に100円ワッフルをよくお菓子がわりに食べていました。いろんな味があっておいしいんですよね。

で、久しぶりに食べたくなって原宿方面に行った時に立ち寄ったんですが、ここで私はあるイラストレーターさんに声を掛けられました。どうやらこの後打ち合せをする編集者さんと間違えられたようです。
その方のお名前を出すのもどうかな?と思うので控えますが、『コロンバンの近くには【SEE MORE GLASS】もある』と書けば、分かる方には「ああ、あの方!」という感じかも知れません。昔からずっとお洋服や雰囲気もお変わりなく、大御所の先生にこんなことを書くのは失礼かも知れませんが、すごくかわいらしい方でした。
なぜ私を編集さんと間違えられたかというと、相変わらず私は喫茶店でいろんなイラスト資料をテーブルにおいて、ラフを描いていたからだと思われます…。なので、その方ともイラストの話などをさせていただいたのですが……。
……この方と言えば、絵もものすごく有名だし、とってもかわいくて、コラージュもほんとに素敵なのですが、さらに私の中では“(私の大好きな)鈴木悦郎先生のお仲間さん”という認識がとても強いのです! 私は、さっきからそればかりが頭の中でぐるぐるぐる、嬉しくて身体もカーッと熱くなっています。
しかも、私はこの書籍をいつも持ち歩いている…

鈴木悦郎---詩と音楽の童画家 (らんぷの本)

鈴木悦郎---詩と音楽の童画家 (らんぷの本)

  • 発売日: 2012/02/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
それをかばんから出してお見せすると、あらあらあらーー! という感じですごく感激してくださり(この方もこの本にエッセイを寄稿されているのです)、こんなところでこんなふうに巡り会えるなんてと2人ですごく盛り上がってしまいました。
そして、それを悦郎先生も知ったらすごく喜んでくださるわよ、ということで、本を持った私を写真に撮ってくださり、先生にお伝えするわねと言ってくださるではありませんか。
私は、悦郎先生と言えばアルピーノ村での個展でご本人を見ても緊張しすぎて声をかけられなくて涙を飲んだ思い出もある存在なので、こんなふうにご本人に私の存在が少しでも伝わるなんて、とんでもなく幸せなことなのです。
先生とは名刺交換をしましたが、その後も「今度一緒に悦郎先生のアトリエに行きましょうね」「悦郎先生にお手紙を書いて差し上げてね」と仰ってくださり、もう私はそんな優しいことばに半泣きのような状態でその場ではお別れしたのでした。
その後「あのときの言葉、鵜呑みにしてもいいのかな」、と分からずにいましたが、名刺も交換したのでメールのやり取りがあり、その後悦郎先生の連絡先も教えてくださり、「この間のこと、先生はとても喜んでくださいました。寺井さんからもお手紙してね」と書いてくださいました。
全部が夢のようなできごとでした。

…ということで、私は後日、お手紙をしたためようと再び喫茶店に出向いたのでした。お友達が吉祥寺でイラストの展示をしていて、そんなこともあり吉祥寺方面にしようと決めました。



ある1日。
吉祥寺方面でのできごと。
ということで、私が訪れたのは吉祥寺よりもさらに遠くの、国分寺です。受験の思い出がよみがえります…。
行きたかったのは、クラシック喫茶『でんえん』。手紙をかくときは、たいていクラシック喫茶です。静かで、クラシックの音は集中力が高まるからです。



マダムは優しそうな方で、そして私が入ると灯油ストーブをつけてくれました。「ちょっと匂うのでごめんなさいね」と言ってくれたけれど、この懐かしい匂いが大好きなので、嬉しかったです。いいムードに酔いしれながら(?)ぽかぽかとした体で手紙をしたためました。

灯油ストーブをマッチでつけてらしたので、マッチを聞くと、ありました。なんだか見たことがあります。。。有名なものかも知れませんでした。
そして、でんえんに行く途中で気になっていた『アミー』にも立ち寄りました。中は広くてほどよく混み合ってて、ああ好きだな、と思いました。「街でいちばん賑わう喫茶店がチェーン店ではない」ということがほぼ不可能になってきた中で、こんなふうに活気があるお店を見ると、いい街だなあと思わずにはいられません。
  
  
外観が「この街の喫茶でございます」という感じで、堂々とレトロかわいく、よかったです(変な表現です…)。


それから、国立へ。ロージナ茶房に行くためです。国立は、まだ邪宗門が営業されていた頃に訪れて以来です。友達と入店すると、私たちは似ていたようで「ふたごみたいだねえ」とマスターに言われたのが思い出です。
邪宗門も通りかかりましたが、そのままなんですね。扉にお花が立てかけられていました。
ロージナ茶房は、ぜひ2階でのんびりしたかったけど、すごく混んでて、お客様もにぎわっていたので、1階でランチをいただきました。なので、ロージナ茶房らしからぬ、この2枚しか撮っていないのです。
『ロージナ茶房』


レジにマッチがたくさんあったので、ひとついただきました。

そして、いよいよ吉祥寺だ! と思っていたのだけど、駅の脇にこの横顔を発見し、入らずにはいられませんでした。そうか、国立といえば『シュベール』もありました。事前にチェックしていたのに、ど忘れしてました。



伝票裏の「気くばりワンポイント」などは、暮しの手帖などと同じノリだなあと思い、読んでて楽しかったです。マッチはないけれど(多分)、コースターもおしぼりもかわいかったです。

そんな、長過ぎる寄り道を経て、やっと私は吉祥寺のイラスト展示を観に行ったのでした…。イラスト、かわいかったし、パワーに溢れててすごかった!! とても刺激になりました。

ある1日。
珈琲豆を買いに。
入谷にある「キャラバン」が、豆のごひいきのお店です。家の裏がやなか珈琲なので、ここで焙煎したての豆をオーダーすればよいものを、キャラバンのファンになってから、ちょこちょこ通っています。

でも、お店はあいてるのにご主人が出て来ない。営業中の看板も出ているのに。高齢のご主人(たしか90歳近くと言っていたような…)がお一人で経営されているので、いろいろと無理があるそうで。。
「すみませーん」を言いつかれたので、近くの入谷カフェで待機することに。こちらはまた一変したムードです。民家を改装していて、おしゃれで、パンケーキがおいしい。

滝川クリステルのようにかわいい店員さんに、どきどきしながらお支払いをして、再びキャラバンに向かいました。ご主人、お出かけされる寸前でした!! あぶなかった…。いつものように、豆を一粒くださいます。噛んで、香ばしい風味がしたら、よい豆の証拠だそうです。
「こちらの味でよろしいですか?」と聞かれます。「もちろんです…」
そうして珈琲豆が入った袋を手に持って帰ってきたのでした。「あまり宣伝しないでね」「もうやめたいけれど、求めてくださる人が全国にいてやめられないんだよ」とご主人はおっしゃいます。
そこに私には想像のつかない苦労と、同時に誇り高さも感じるし、実際にお店を辞めた方がご主人にとって幸せなのかそうじゃないのか、私には全くわからないのでした。
でもきっと、お店が開いている限り、私はまた珈琲豆を求めに行くと思います。だからまた、一粒の豆を齧らせてくださいね。