阪堺線で下車したのは住吉です。念願の「タンポポ」に訪れることに。線路の脇にある。「タンポポ営業中」の旗は、ずっしりゆっくり、揺れていました。
『タンポポ』(住吉)
以前、レモン糖さんのブログでも拝見しており、エピソードもとても素敵で、私もちょっとだけその世界に触れさせていただきたいな、というような気持ちでした。
入るなり、歓声をあげたくなるような店内でした。
ほどよい広さの店内には、丸い窓から入る光、レースのカーテン、ちょこんとしたライト、レトロなウインドウシール、オレンジ色よりの皮の椅子、クッションフロア、かわいいついたてにレンガの壁、そしてカウンターにディスプレイ。すべてが揃っていました。
そして、カウンターには、真っ白な髪に真っ白な髭をたっぷりたくわえた、穏やかな雰囲気のマスターがいらっしゃいました。
ここは完璧だ、と思ったのでした。
ずっと来たかったことや、レモン糖さんのブログも拝見したことなどを伝え、いくつかお話させていただきました。マスターが自らマッチを持ってきてくださり(私のようなお客は、マッチも好きなはずと分かってくださっているのでしょう)、マッチについてお話したり、お店の名前の由来を伺ったりしました。
マスターは、私のタイミングなどを気にかけながら声をかけてくださる方で、すごく優しかったです。
お客様に撮っていただいたというご本人の写真が飾ってあり、めちゃめちゃかっこよかったです。
マスターが渋くかっこよいのに、マッチやウインドウシールには乙女らしさもあること、決して凝った外観ではないけれど、今では珍しい丸窓であること、テーブル席同士の距離感など、ひとつひとつがさりげなく、最高だった。それらがマスターの穏やかな空気でまとわれ、ほんとに何度も感じたけれど、完璧なお店。
ずっとこのままで居て欲しいけれど、例えばお店のランプの電球も、今はLEDが主流になってしまい、「それでは少し人工的な明るさなんだよ。今の暖かみが出なくって。電球が切れたらどうしようかなと思っていて」と仰っていましたし、いつまでも同じものってないのかも。
このまま瞬間冷却してしまいたくなる(?)気持ちになるくらい、是非ずっとこのままの空間で居て欲しいと、強く思った喫茶店でした。