クリスチャンとしても有名な作家さんですが、同じ出身地の方の作品をひとつでも読んでみたいなと今更ながら思い、読んだのが「塩狩峠」です。
主人公の人生を生まれた頃から丁寧に描いています。
生まれた頃から全部書いていくって、その人がその人たらしめる根本部分がよくわかるので、重要な描写ですよね。(長いと読み疲れてしまうけど…)
どんな親に育てられたか。環境はどうだったか。幼少期に、思春期に、何を葛藤し何に苦しんでいたのか、それによってどのような青年になるのか。
心情が特に丁寧に描かれており、三浦綾子さんの表現する力というのを感じ入ります。(えらそうですが)
「塩狩峠」での大きなキーワードは、主人公の彼と、キリスト教との関わりです。
主人公の様々な心情を追いながら、私自身は、「キリスト教とは何か」を自分なりに学習するような気持ちで読みました。
個人的には「自己犠牲の強さ」が読んでいてとても印象的でした。
※偏った考えかもしれませんね。すみません。宗教のことを書くのは、難しいですね…
自己犠牲って、なんだろう?
自分を犠牲にしてでも人の役に立つ。役にたつのは素晴らしいですが、ひとりよがりというか、あまり良い印象ではないですかね。人生とは、まず自身が幸せであることで成り立つものではないのだろうか。幸せってなんだろう。自己犠牲によってもたらされたもので、受け取る側はどう思えばいいのだろうか…。
よくわからなくなって、いろいろ考えてしまいました。結局今も、噛み砕くことはできていないのですが。
ただこの「自己犠牲」が、この物語ではこんなふうに扱われるんだ…
というのがけっこう衝撃的でした。
胸がつぶれそうな感覚になったのは間違いないのですが、感動した!!なんて強く思える感情ではない。これは私は、読み終わってもうまく反芻できませんでした。
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ここについては完全にネタバレになるので、これ以上もう何も書かないです。
読んだ方で、一緒にモヤモヤを共有できる方がいらしたら、私は嬉しい…。
最後に一つ、
この本を読んでいて私が一抹の不気味さを感じていたのは、
本のタイトルである「塩狩峠」が、物語にいつまで経っても出てこないことでした。
なんで「塩狩峠」なの?
そう思って、読んでいました。
今思い返すと、この「なんで?」「なんで塩狩峠出てこない?」という悶々とした感情も、「塩狩峠」の読書中の、おもしろさの一つだったように思います。
…うーん、伝わりましたかね…。
曖昧な感想文となってしまったように思うのですが、「塩狩峠」については、これ以上のことは書けないかもなあ。
いつか忘れた頃にまた読み返したら、どんな感情になれるかは、ちょっと興味があります。
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marble marble マーブルマーブル
- イラストレーターです。日々気になったことをテーマに問わずブログにしています。マーブルチョコのようなカラフルで雑多なブログを想定し、「marble marble マーブルマーブル」としました。純喫茶、マッチ、散歩、昭和の建物、昭和歌謡、片付け、スケジュール帳などが好きです。コメント欄がありません。ご感想などはこちらまで→marble●tellacoli.com(●→@)
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