てんとてん

喫茶好きのイラストレーターの日常ブログ。てんからてんへ、ぼんやりとした日々。

自転車エリアの東京喫茶巡り『キャラバン』『梨香』『マリモ』

なんと1日で、三店とも素敵だったと言う、そんなある1日です。

『キャラバン』(入谷)
入谷方面に行ったとき出会ったキャラバンは、外観のムードからして「珈琲ずきは一度は入らなきゃ」と言った雰囲気でした。


珈琲について熱く書かれた看板等に背中を押され、入ってみると80代後半のおじいさんがお一人でお店をやっておりました。
すごい数の珈琲の器具。豆を選び(顕微鏡を見て調べたりもしていられた)、焙煎するまで徹底して珈琲に携わっており、ここまで本格的だとは知らずびっくりしてしまいました。顕微鏡を見る過程などは、「なんで、こんな面倒なことをやってしまったんだろう」と今でも思うそうで、使いこなすまで10年はかかったらしく、その徹底ぶりはほんとの職人技。
焙煎室も別室であり、もう、ずうーーっとここで、珈琲一筋の人生を送られている方だった。フライパンを使っての自家焙煎も勧められたけど、やっぱり私には難しい。その時間に、イラストを書きますので…。

ホットコーヒーを頼んでからテーブルに届くまで、ずいぶん時間が早く感じられたので「あれ?即席すぎない?」っと思ったのだけど、やっぱりめちゃくちゃ美味しかった!
結局私は豆を2パック買い、イートインの珈琲はサービスしていただきました。美味しいんです。ほんとうに。「そうでしょう、そうでしょう」って。「常連さんがここでしか買えないと仰るから、お店をたたみたくてもたためないんだよ」って。
豆を買うとき、私は豆を齧ってみてくださいと言われた。齧ると、ふわーっと香ばしいものが口に広がった。「それが美味しい豆という証拠なんです。齧らせてもらえないお店で買っちゃだめだよー」と言われた。
…が、今まで齧らせてもらったお店なんてないんだけど。
そして、駄目元で聞いてみたマッチが思いのほかかわいかった。

このマッチを見て、あ、「純喫茶コレクションさんの書籍の中の、"マッチコレクション"で見たなあ」と、思い出した。いいデザインですよねー。お洒落!
このお店、ご主人ご本人は、「もう1人でできることが限られちゃうから、あまり忙しくしたくないの。だからインターネットで宣伝するのも、そっとにしてね。たくさんいらっしゃると、体に堪えるから」と仰っていた。
私のブログでの影響力はほとんどないと思うので特に遠慮せずにアップしてしまうけど、奥様が病気になり、それからお一人での経営となったそう。奥様のお写真を見せていただいた。かわいい方で、「そうでしょうー、かわいいんです」って。珈琲一筋でもあれば奥様一筋でもある方。
最近の情報が氾濫するニッポンのこれから、について危惧するところを色々と伺ったのだけど、このように信じた路一筋の方にそんな話を伺うと、すごくドキーっと思うところも多々あったりで。
あのような方のお話って、今しか聞けないとっても貴重なものだと思うのだけど、もっと多くの媒体で伝えることってできないんだろうか。せめて私は、心に刻んでおこうと思います。

『梨香』(三河島
キャラバンに伺った後、梨香というお店に行く。日暮里まで行こうと思ったら、路を間違えて西日暮里方面まで走っているうちにたどり着いたお店!ラッキーです!周辺にもぱらぱらと喫茶店。おおー。

厳選した梨香さんのショット!
ここは、一足お店に入るなり、その全体的なかわいらしさにたまらない気持ちになりました。奥様も、フリルのエプロンがとっても素敵なかわいらしい方。
写真を撮っていいですか?って聞くと、「前にもそんな方がいらしたわー。神奈川からいらっしゃってた」と言ってた。うーん、どなただろう。でもほんと、喫茶巡りをしている方、多いですねー。その方はすごく素敵に撮っていらっしゃったらしく、「私はそんなに素敵に撮れませんー」と断って、好き勝手に撮った。

結果、トイレなどを撮ってしまう。すみません、マダム。でも、ひとつひとつの物の選び方がとてもかわいらしく、何て言うか、マダムのセンスで統一されていて、素敵なのだ。「よく外観と中が違うって言われるの」って仰ってた。確かに、中の方が私は大好きです。
「好きな物に囲まれているから、この喫茶店にいることが自分で楽しいと感じる。だから飽きないの」って仰っていて、ちょっと感動した。いいないいな。私も飽きない空間を作りたい。「好きな物ばかり」って、いいですよね。言い訳のない世界という感じで。私ももっとそうしたい。
そんなマダムの世界観にノックアウトされて帰ってきました。
場所は、おそらく三河島のほうだったと思います。おすすめです!夢中になってたら、マッチのありかを聞くのを忘れてしまいました。

『マリモ』(千駄木

谷中銀座の終点をちょっと曲がり、よみせ通り沿いにあるお店で、ほぼ毎日お店の前を通りかかっていたのにも関わらず1年以上かけて初入店しました。たくさんスーパーなどで買ったものをレジ袋に入れて。それを、両手に抱えての、ご近所入店。夕方のほんの一息のつもりでした。昼間に喫茶でボーッとしようと思ったら、二店とも素敵で全然ボーッとできなかったんだもの。
マリモって、名前がそもそも北海道つながりかしら、と思っていたら、マスターの出身地だった(はず)。
最近、喫茶店で木彫りのクマを見つけると嬉しくてついつい撮ってしまうのだった。アイヌの民芸品もあったー。

「マリモマッチ」がかっこよかった!私は、ご近所にこんなに素敵なマッチがあったなんてと嬉しくなってしまいました。

そんなふうに、三店とも思いがけず何かしらドラマがあった一日だったのでした。結果、そんなに「喫茶で休めた」という感覚にはならなかったけれど、嬉しい一日。
自分だけのとっておきを見つけられると、嬉しいです。