てんとてん

喫茶好きのイラストレーターの日常ブログ。てんからてんへ、ぼんやりとした日々。

入谷の喫茶店『キャラバン』

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Twitterを通じて、入谷にある「キャラバン」のマスターが亡くなり、お店が閉店していたことを知りました。

ものすごく珈琲のおいしいお店でした。当時の写真を再アップします。

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マスターのこだわりに溢れたお店。店舗横にしっかりとした焙煎室があり、確かご自分で外国の機械を改良し、焙煎しておられました。

その豆に、傷がついていないかどうか、顕微鏡で確認されるんだそうです。顕微鏡も確か豆を見る専用のもので、非常に扱いが難しいらしく、10年以上かかったと仰っていました。

 

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店頭に並ぶ、道具や看板たち。お客様たちが自分で豆を煎ることをおすすめしており、そのための器具の販売や、教室もされていたそう。

フライパンでだってできるんだよと私も勧められましたが、さすがにそこまでは手を出したことはなく…。

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かつてはご夫婦で喫茶店を経営されていましたが、私が訪れるようになったのは、パートナーである奥様が病に伏されてからで、詳しくは聞きませんでしたが非常にバタバタとした日々だったそう。なので豆の販売のみを行っておりました。

初めて訪れた日は、特別に珈琲を煎れてくださった。

時間をかけずにさささっと煎れてくださったので、当初は味に期待しない方がいいのかななどと思っていたら大間違いですっごくおいしく、めちゃめちゃびっくりしたのを今でも思い出します。

(私は喫茶店に味目的で訪れることが少ないので。。。)

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店内には骨董品などが並んでいました。ここには写ってないけれど、珍しい時計がたくさん飾られていたのも印象的です。

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かわいらしいマッチがあったことでも有名かも?

 

しかし、何より好きだったのは珈琲の味。比較的さらりとしていて、それでいて風味があって、今までに無い感覚。本当においしいかった。あの技術と膨大な知識、ちゃんと後継された方はいらしたんだろうか。。。?そうだと信じたい。

私は5回ほど豆を買いに行きました。

それまではいつもマンデリンなどコクのある豆を深煎りでいただくのが好きだったんですが、ここに来て、そうではない味わいの奥深さを知りました。

豆の購入時には、ワインのテイスティングのように、豆を一粒齧らせていただき、「どうですか?」と聞かれていたのも想い出です。それがまた、ふわっとしていて美味しいんです。

 

ほか、政治や経済にも詳しく、おもしろい話をしてくださいました。今年の夏に亡くなっていたことをつい先日知り、奥様より先に旅立たれてしまったことも含め、とても驚いたし、残念でなりません。

Twitterでご報告くださった方は全く知らない方で、おそらくかつての私のキャラバンへの呟きより辿り着いてくださったもよう。詳しく記されたブログもありますよと教えてくださり(許可を得ていないのでここにはリンクは貼りませんが…)、亡くなったマスターやお店の状況なども知りました。

 

貴重な方だったと思いますし、こんなふうに突然珈琲が飲めなくなってしまったことも残念で、その分あの美味しさがいつまでも自分の記憶にしっかりと残りそうです。

ご冥福をお祈りいたします。