久しぶりに読書感想文ブログです。
短い時間で一気読みし、涙し、生きることについて考えました。
山本文緒さんの本『無人島のふたり-120日以上生きなくちゃ日記』です。
山本さんは昨年、膵臓がんで58歳という若さで亡くなってしまいました。
病気が発覚してから亡くなるまでの約120日間の生活が綴られていました。
読んだきっかけは、昨年山本さんがテレビ出演された「あさイチ」での佇まいやお話が素敵で、当時発売されていた著書『自転しながら公転する』がおもしろかったことです。
軽井沢に住まわれ、以前より人間関係もライフスタイルもコンパクトにされたそうで、なんだか心地よさそうに、優しい眼差しでモノや人を見つめている方のように感じ、素敵だなと思っていました。
テレビで着ていた服とか撮っている写真も素敵でした。
山本さんの本、私が大学生の頃は「私たちの世代にも刺さる本を書かれる女流作家のおひとり」という感じで何冊か読んでいました。
「なんかこの本は私をわかってくれる気がする」という気持ちで、どこか依存しながら読んでいた気がします。
著書『みんないってしまう』というタイトルだけ見て、“みんなどんどん先に進むけど、自分だけが大変でかわいそう”という世界に入り込んでしまいそうになったり…
(実際の本の内容はそういうことではないですが…)
20代前半は、椎名林檎とかaikoとか、みんなそれぞれ依存っぽい感覚で、「この人だけは私をわかってくれてる」みたいな感じで、音楽やアートや本に触れていた人も多かったのではと。
自分でお金も稼いでないから、あらゆることに自信がなくて怖い時期なんですよね。
そんなことないですか?
その後、山本さんは重度の鬱になったと知り、また何年間もの闘病を経て回復されたとも知り、すごいことだな、辛かったろうな、鬱って回復するんだなあなんて思っていました。
そんな後にあさイチを見たり著書『自転…』も読み、穏やかに歳を重ねた山本さんの姿になんだかしみじみしていたのだけど、それから1年と経たずに癌で亡くなったと知ったので、私なりにではあるのですがショックで、病気による死は、人の時間の流れを一気に奪ってしまうなと感じました。
そんな中で書店で見つけた本。
山本さんのイメージにぴったりの、優しげな表紙デザインや丁寧な装丁も良かったです。
亡くなる最期まで、夫を思いやり友人知人を大事に思い、お世話になる医師や看護師、ケアの方への優しい気持ちのある方でした。
こういった苦しい状況を伝える文を読者に届けてしまって申し訳ない、不快になる人もいるだろうとも綴っておられ、最後まで気配りの方でした。
さらに言えば、そういった状況や気持ちをお仕事として文章にできる、人々に伝えられる、生粋の書き手であることも感じました。
(最初は単に日記として綴っていて、途中で信頼している編集者さんを経て本にしましょうという話になったそうです)
当たり前なのですが、文章がすごくよかったです。
この場合、“よかった”と表現するのも違うのかも知れませんが。
素直かつ分かりやすく、心情や状況が伝わってきます。
最期の最期で、意識が少し朦朧としてしまっていて、そこでの文がまた、泣けてしまいました。
仕事で成功した、自立した女性の人生です。
だからこそ自身の選択で治療法を選択したり、旦那さまの献身的なケアを受けたりできています。
自立でき、選択できる人生をご自身でつかんでいるからこそ、自身の領域を大事に保っているような、素敵な佇まいだったのだなと、過去のあさイチの姿を思い返しました。
読んでいて辛くもあったし、悲しかったし、「自分がそうなったら」というのも考えました。
50代の死は早いですね。
さくらももこさんとか、誰がいつどうなるかわからないものですね。
私はいま46歳ですが、体調が明らかに前とは違います。
いわゆる婦人系の不調も、「不調なことがもはや普通」という感じだし。
疲れやすくなったし。
これは更年期なのか?なにかの病気の前触れなのか?ただ気力が足らんのか?
…なんて思っていたら、同世代の友人がみんなこんな感じだったりして。
なんだこれがデフォルトか〜なんて思ったりね。
同級生とは、最近しけた話しかしてないかも。苦笑
早くこういうの脱出したいねーって。
でもほんとうに病気が隠れているのかも知れないんですよね。
山本さんは喫煙もお酒もずっと前にやめたそうで、人間ドックも毎年いってたそうなんですよね。
いつどうなるかわからない人生。
私はほんとにここになんども書くけど睡眠が下手で。
けっこう長生きできない致命的パターンという感じがするんですが。
これから私は、どんなふうに生きていこうか。
今は2022年も終わりますし、そういったことを振り返る時期でもあって、より考えてしまいます。
まじめにわがままに。
気楽に心地よく。
そしてちゃんと周りに感謝しながら生きていきたいなーと思いました。
山本さんみたいに。
人を最後まで大事に思い、穏やかに過ごすには、自身を確立しなければいけません。
自分の足で立ち(もしくは信頼できるパートナーや仲間から支えてもらえる関係を築き)、そこに責任が持てているからこそ、心のありようは自由になれるし、人を信じることができて、楽しい関係が築けたり、他愛のないおしゃべるできるんじゃないかと思います。
↑文章が固いかもしれませんが、これでも少しはラクになってきているんですよ。努力できないで逃げ続けちゃうと、やっぱり言い訳も多いし空洞のままだよなって思います。
がんばるぞ。
なんてことを思う読書でした。
marble marble マーブルマーブル
- 東京在住のイラストレーターの日常の記録。
- 人見知りですが、せめてブログはマーブルチョコのようにカラフルになるよう「marble marble マーブルマーブル」としました。
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