本を発売して、1ヶ月半が経ちました。
私は日常生活にていつもの仕事をしつつ家事をしつつ、本のプロモーションも行いつつ、友人知人と会ったり相変わらず喫茶店にも行ったり…をしているうちに日々が過ぎている感じです。
ちなみにSNS用に、新しい写真を撮っていました。
北海道の喫茶店のイラスト(既出のもの)と、それにまつわる本の写真。
「ちろる」と「氷点」。言わずと知れた、物語内に登場する実在店。
こんなふうに直接店名が出てくる喫茶店もあれば、「この小説から想像する喫茶店って、あの駅にあったあのお店のイメージだよな」と勝手に妄想した組み合わせもあります。
喫茶店の方は、必ずイラストで。
本の感想文も添えて。
夏休み=読書感想文ってことで、季節的にもいいかなという試みです。
SNSらしい映えがないのでどうしようという感じですが。
…っていうふうに企画して、いろんな喫茶店に思いを馳せているうちに、まだまだ知らない北海道の喫茶店がごまんとあるよなあと、気持ちが遠くに飛んでいってしまいました。
そんな時はGoogleマップで行きたいエリア内で「喫茶店」と入力し、出てくる店名や写真を楽しみます。
同じように楽しんでいる喫茶ずきの方はいるでしょうか。
いや、いると思いますよ!
おもしろいですよね。止まらなくなりますよね。
今日は「網走」「北見」「釧路」を。
網走は渋めなお店が多い印象です。ジャズ喫茶で素敵なところもあるし。
「あ、海沿いに“麦わら帽子”っていうお店があるな〜。北海道で他にもこの名前のお店見たことあるなあ。土地の雰囲気に合う名前だよな」
「え、喫茶“琥珀”!?いい名前…。近くに貝塚館もあって歴史を感じられるし、琥珀の勉さんみたいなおじさんが住んでいそうだな〜」(←勉さん=朝ドラ「あまちゃん」に出てくる琥珀堀りをするおじさん)
釧路に移動して
「仏蘭西茶館、リリー、ちゃーり…。内装最高だな〜。ちゃーりの看板!スヌーピーとチャーリーブラウンの絵やん!かわいい!」
「あでも、少し大きい街だからタリーズやコメダなどチェーン店もあるんだな」
北見に移動して
「北海道らしい碁盤の目の街だな〜。喫茶店めっちゃあるな!」
「この町でずーっと手描きの地図を書いて、歩きながら街を見て、地図を刷新し続けてた方、前にテレビで見たなあ。すごい数の。あれで知った喫茶店もあったもんなあ。閉業したデパートとか。温かい絵で。あの方すごかったなあ…。……………ああ〜、亡くなってしまってた。個人ブログで知ってしまった…そうかあテレビで見たの、ずっと前だもんなあ…」
…と、今私ココなんですが、少し悲しい気持ちにもなりつつ、そんなふうにいろんな街の喫茶店のことなどをGoogleマップで見てました。
あと、しょっちゅう通っているっぽい方の口コミの文章を読むのも楽しいです。
やっぱり常連さんの文が、いちばんお店の「らしさ」が伝わる気がします。
分析チックや批判的なのは、行ってみなきゃわからないし人ぞれぞれなので、ほぼスルーします。
実際に行きたいお店もたくさんあって、もし私が「ほっかいどう喫茶の手帖」を第二弾が完全版のような形で作れるなら、足を運んで作りたい。
だけど自分の力だけでは時間もお金もかかり過ぎてしまいそうだし、やはり、“作る”っていう視点じゃなくて、もっとフラットに、ぼんやりとただただ北国の喫茶店を楽しみたいという気持ちもあります。
「ぼんやりとただただ北国の喫茶店を楽しみたいって思うこと」は、
それだけで自分にとって癒しのような効果を感じてます。
ちなみにその感覚って、どうやって言葉で表現したらいいのかな〜と思っていましたが、能町みね子さんの本の「逃北」。
あ、もしかしたら私はこの「逃北」という感覚に少し近いものを持っているのかもと思いました。
果てのなんでもないところ、辺境に、ただただ身を置きたい、街をさまよいたい。
寒かったり、真っ白な銀世界も心地よい。
ひとりがよい。
南国などのリゾート地でボーッとしたいという感覚と違って、「逃北」という感覚は、一般には伝わりにくいからちゃんと説明したほうがいいよと能町さんは編集者さんに言われたそうです。
後書きにそのようにありました。
えっそうなんだ、みんな持っている感覚じゃないの?
と私もそれを読んで驚きました。
なんだろうね、自分が北国出身だからそうなのかわからないですけど、「北海道の喫茶店に思いを馳せる時間」は何もない場所に気持ちを飛ばすことができて、ほんとに安らぐし、心地よいのです。
能町さんはご自身の背景に「封建主義という感覚があるのかも」という、また深い切り口で分析しており(そうとは言い切ってはいませんでしたが)、一方私の内側に何があるのかは分析しきれてないんですが。
なんだろう、「リセット症候群」と言葉がありますが、それは少し近いものがあるのかも?
「逃北」の背景には健やかさというよりは、若干ネガティブな要素を我ながら感じます。
…でもとりあえず今は、あれこれ考えるとせっかくの楽しい妄想がめんどくさいものになるので、もう少しこのぼんやり感覚を楽しみたいと思います。
いつにも増してまとまりのない文章になってしまいました。
ちなみにですが、本のプロモーションとして、先日西荻窪にある書店さんに売り込みに行き、本を置いてもらえることになりました。
そこで話がスムーズに進んだ理由の一つに、店主さんが“ここ数年は事あるごとに北海道に旅行に行っている方だった”という偶然がありました。
店主さんが好むのは、やはり「果て」「辺境」といった場所で、さびれていたり、雄大すぎて持て余しているような土地の豊かさだったり、街の人たちが自身で気づけていない街の魅力が宝の持ち腐れのようになっていてもどかしく感じられる部分だったり…
そして冬ほど北海道はすばらしい、あの真っ白な何もない世界を感じられる場所はなかなかないとおっしゃっていました。
少し私の感覚と似ているところがあって、話を聞いていてすごく楽しかったです。
その方が足を運ばれた遠いエリアの喫茶店の話も少し聞けました。
そのような、本を置かせていただいたお店も少しずつ増えてきていて、SNSでは告知済みな場所もいくつかあるのですが、また改めてここにも掲載しますね。
西荻窪で置かせてもらった書店は夕景がすごくきれいな駅前通りの先にあり、暑い日でしたが歩いていて楽しかったです。
そんな話もまたここで。
駅スタンプもとってもかわいい西荻窪駅でした。
marble marble マーブルマーブル
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