てんとてん

喫茶好きのイラストレーターの日常ブログ。てんからてんへ、ぼんやりとした日々。

【冬の読書感想文】片岡 義男著「ミッキーは谷中で六時三十分」

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あ、谷中が舞台だ!表紙が珈琲だ!

と、それだけで食いつき図書館で借りた1冊です。

どんな方のどんな作風かも、私は実は分かっていなかったのですが、「スローなブギにしてくれ」などで有名な作家さんが、デビュー40周年に東京の街を舞台に書かれた短編集でした。

谷中、高円寺、祖師ヶ谷大蔵三軒茶屋、経堂、下北沢、吉祥寺、渋谷などが舞台。どこどこの電車を乗り継ぎ、こんな風景が見えてきたら、その角を曲がり…と、そのエリアを知っている人にとっては「ああ、あそこだね」と絵が浮かぶような描写でした。

70年代より活躍した作家さんの本。

独特なかっこよさというか…キザな感じ(表現がよくないかな)?男女がなにやらセクシーな雰囲気で会話を楽しんでいる感じ。なんならスキンシップがある感じ…。ちょっと昔の、大人の世界。

その会話の流れでかっこよく二人でショットを飲んでしまうのね?本気でね?…ひゃ〜〜って、私にはキザ過ぎて、ちょっとこっぱずかしい気持ちにもなったりも。

キザな世界観は、流行っていたのかな。

ジュリーの歌でもあったよね。「あんたの時代は良かった〜♪男がピカピカのキザでいれたよ〜♪」

時代がわからないと、なんとも考えようのないものってありますよね。キザが流行ってたというよりは、「男の美学」に、この時代ならではのものがあったのだと思います。

 

50年後くらいに今のボカロとかアニソンなどを聞く新しい世代の人は、「なんでこんなに中世的で、込み入った厨二感なのだ?」って思うかもしれないし。こっぱずかしくもなるのかも。

でも今の時代を知っていると、アラフィフの私ですら、そういった厨二感って分からなくもないよなって思っていたりします。内にこもって、そこでキラキラと自己表現する感じ。前髪隠れちゃってる感じとか。カラコンとか真っ白い衣装とか(やりたい訳では、ないですよ!気分として、今の時代っぽいというか)

ちなみに「ミッキー」というのはミッキーマウスの腕時計のことでした。タイトルの“ミッキーは谷中で…”というのは、ミッキーの腕時計をした登場人物の行動のようすを表現しているんですよね。

かっこいいですよね。うん。言葉の表現ひとつひとつがオシャレでございました。

 

どんな時代を生きたかで、影響を受けるものって違うんだろうなあっていうのは少なからず思います。

例えばお笑い芸人の人たち。

私はオードリーが好きなんですが、オードリーはいわゆるダウンタウン世代で、ちょっと前までは「テレビでいっぱい漫才やコントをやって、ゴールデンで冠番組!」みたいなのが、一番の憧れだったそうなんです。

でも今は大手の会社は辞めちゃって事業を立ち上げたり、YouTubeメインの人とか、サロン開く人とか、芸人のスタイルもいろいろあるみたいで、何がいちばん正しいというのもないような。

それでも私はあくまでもテレビをベースに、ラジオ、舞台、エッセイ(若林)など、幅広いジャンルで活躍できるオードリーを応援しているんですが…。

 

イラストレーターもいろいろいる感じ。

それを書き出すと長くなっちゃいますが、とりあえず私は遅れないようについていく…というところからですねー。

 

 

ちなみにずうっと前ですが、どの世代のカルチャーを楽しんできた人がいちばん羨ましいか?っていう話を友達としました。

で、やっぱりというか、二人とも70年代後半、というふうに落ち着きました。

50代前半〜後半くらいの方々でしょうか。

まず、喫茶店がめっちゃありますし。昭和の素敵な街並みを知っているのが羨ましい。百恵ちゃんやジュリーがどストライク世代なのが羨ましい。70年代ファッションをちょっとでもかじっているのが羨ましい。などなど。単に好みの問題かもしれませんが。

私たちは、「プラチナ期」と呼んでいます。笑

 

ちなみに私の世代(70年代後半〜80年代初頭)は、「ゴールド期」というふうに決定しました。笑

私でいうと、小学生低学年で「8時だよ全員集合」「オレたちひょうきん族」、そして欽ちゃん、高学年でとんねるずからのダウンタウン。音楽はザ・ベストテンで見るアイドル全盛期があり、その後イカ天などのバンドブームがあり、ニューミュージックというジャンルがあり、今現在日本の音楽の巨匠たち(サザンとかユーミンとか山下達郎とかです)が、全員油のりまくってました。その後、高校生でTKブームも来ます。

漫画はりぼん全盛期、ジャンプ全盛期。ドラえもんの名作映画、ジブリの初期映画は小学生で視聴。サンリオブーム、ポンキッキポンキッキーズ角川映画、ETにバック・トゥ・ザ・フューチャー

もう、「プラチナ期」をも追い越すんじゃないかっていうくらい、超絶楽しいカルチャーエリートコースの世界を生きていました。

 

 

その時代のカルチャーに影響を受け、好きになったことで「レトロ」に惹かれますし、今は純喫茶が好きですし、それをイラストルポにしたいなと思っていますし。

 

全然違う世代に生まれてたら何をしていたのかなって、ふと思いました。

 

…でもなんか、それはそれなりに、似たようなことをしていたようにも思います。

 

1970年代だろうが2020年代だろうが、私はたぶんちょっとキザなものはこっぱずかしくて、厨二感は少しだけわかるけど、でもやっぱりちょっとこっぱずかしくて、ああでもないこうでもないとか言いながら、結局喫茶店に行って珈琲おいしいって言って、イラスト描いて、今のようなことをしているんじゃないかしらねーと、改めて思ったのでした。

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marble marble マーブルマーブル

マーブルチョコのようなカラフルなブログになるよう「marble marble マーブルマーブル」としました。純喫茶通いはもうすぐ1000軒。今まで通った喫茶店を【純喫茶リスト】にまとめています。Instagramでは、【喫茶通いのイラストルポ】をアップしています。
ほか、【ワードローブ】【登山・キャンプ】【本・映画・音楽など】【逃亡スポット】【お出かけ・遠方】【お出かけ・近辺】など、日常の記録をマイペースに綴り続けて15年。
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