てんとてん

喫茶好きのイラストレーターの日常ブログ。てんからてんへ、ぼんやりとした日々。

【冬の読書感想文】飯塚めり著「喫茶の効用」

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気づけば書店にどんどん増える、喫茶店・純喫茶の本。雑誌。

最初は私もめずらしくっておもしろくって、なんでも手に取っていたのですが、もう、ここ数年は次から次へと出すぎていて飽和状態に。

とても細かく、ピンポイントでツボをつついてくるような本だけを手に取るようになってきました。

さらにそこから購入する本はかなり少なくって、先日久しぶりにこの本を購入しました。

私は自分でも喫茶店のイラストルポを描いているため、ひとさまはどのようにイラストルポを発信しているんだろう…と、かつて本屋で飯塚めりさんのZINEを手に取ったことがあります。細かなカフェ研究ルポがおもしろくって、今も手元に2冊あります。

それから飯塚さんは、出版社を通じさまざまな本を出されるようになったんだなあ…はっ、テレビにもご出演されている!なんて思っていたのですが、昨年11月に発売されたこの本が、ピンポイントのどストライク!

購入してお家に持ち帰ることにしました。

 

茶店を「おくすり」のように捉えている飯塚さんが提案する、“処方箋”のような喫茶本。

“コーヒーが体にいいよ”という内容ではありません。“喫茶時間が、あなたの心を癒してくれますよ”という「喫茶の(癒しの)効用」について提案している本です。

 

例えば「直帰したくない」「雨の日に気分を明るくしたい」。…そんな時はこちらの喫茶店はいかが?という感じで、数軒ごとイラストルポと文章で紹介されています。

上記のように具体的なものもありますが、「悩みごとをちっぽけにしたい」「自分を大切にする時間をつくりたい」。…そんなときにおすすめしたい喫茶店も紹介されています。

 

こういった“感覚”は、わかる人とそうじゃない人がものすごく分かれると思います。

 

ちなみに私も当ブログでしょっちゅう「逃亡スポット」だとか、「喫茶はなぐさめられる場所」などと伝えておりますが、私の身近な友人でも「???」とか、「んな大げさな」といったリアクションをもらうことがあります。

落とし穴にはまったような、どん底な気持ちの時。

どうしても時々引っ張り出させる、過去のつらかったことが体を支配してしまった時。

たぶん程度に差はあるんでしょうが、「喫茶の効用」のような本を読むと、喫茶店は味方だし、味方だと思える気持ちも大事だし、そこでの照明の感じ、食べたものの味、さりげないマスターとの会話、そのお店にしか出せないなんともいえない空気感などが自身の処方箋となり、救われているんだなーとしみじみ思うのでした。

“昭和の純喫茶”というくくりではないんですよね。カフェでもチェーン店でも、もう、私はここにしつこくなんども書きますが、空港とかモノレールとか、空がよく見える空間でも、建物の屋上でもよいんですよね。

 

そして、イラストルポを作成する身として、このアプローチはやられた!って思いもしました。笑

一昨年からのコロナがあり、悲しいニュースも次々とあり、リモートワーク等で人と会わなくなったり、人々の心境の変化によって、このようなピンポイントな視線での喫茶本が誕生したのではないかと思います。

 

茶店の本に関しては、今後、もっとピンポイントな、マイナー視点の本が出てくることを期待しています。なかなか実現しない企画かもしれませんが、個人的にはそういう本こそ購入したいし、手元に置いておきたいです。

 

あっ、あと「喫茶の効用」は装丁や本文デザインも統一感があって素敵でした。

私もそんな作品を作れたらな。

これを読んで、私のイラストルポは、自身の体験の書き込みや、それを読み込む方がいかに追体験できるか?の視点が足りないなとも思いました。

 

学びと癒しの多い一冊でした。

皆さんも、心の休息に喫茶店はいかが?

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marble marble マーブルマーブル

マーブルチョコのようなカラフルなブログになるよう「marble marble マーブルマーブル」としました。純喫茶通いはもうすぐ1000軒。今まで通った喫茶店を【純喫茶リスト】にまとめています。Instagramでは、【喫茶通いのイラストルポ】をアップしています。
ほか、【ワードローブ】【登山・キャンプ】【本・映画・音楽など】【逃亡スポット】【お出かけ・遠方】【お出かけ・近辺】など、日常の記録をマイペースに綴り続けて15年。
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