前回、前々回のブログで今夏の体調不良について書いたのだけど、結局入院での療養をすることになった。
8月に続いてなかなかハードな私の今年の9月だ。
より安静にすることと詳しい原因を探ることが目的で、慢性化や悪化の可能性は引き続きないようで安心した。
安静を目的とした入院生活。
これは案外難しい。
少し元気だと院内のコンビニに行ってみようかなとか、ストレッチをしましょうだのと動き、リフレッシュするのだけど、それなりに疲れてしまい、その良し悪しは何とも言えない。
とはいえまったく動かず日中まで寝てしまうのは、不眠症持ちの私には夜に目が冴えてしまいそうで怖い。
結局のところ、ごろ寝で読書が無難な入院生活となった。
気楽にのんびり読めるもの、心地の良いものというのを意識して選んだ数冊。
いつ何時もフラットな心身状態を保っていらっしゃいそうな方というのに憧れがある私は、もう何冊目か分からない小林聡美さんのエッセイ本を持ってきた。
鳩サブレが描かれたゆるやかかつシンプルな表紙。
小林さんの読書感想文&エッセイ文という構成で、とっても分厚く、さらにひとエッセイにつき読んだ本は2冊という、かなりの濃密な内容になっていた。
6年間の連載モノだったそうで、本はなんと140冊も読まれている。
まえがきを見ると実はそこまで読書家でもないらしく、悪戦苦闘の時も多かったようですが、それでここまで細やかにご自身の言葉で本の感想を綴られているなんて。
ご結婚後、かもめ食堂などの作品に出るようになった頃、そして再び独身の生活をされている現在と、これまでのライフスタイルや時代の変化とともに、小林さんの文章は少しずつ変わってきている…と長年読者の私は思う。
「ひとり(とネコ)」という生活に今再び小林さんは馴染まれ、シンプルにゆるやかに、今思っていることや一人暮らしのあれこれ…老いのことや親のこと、自宅でできる運動のことなどを開放して書いてくださっている印象だ。
文章が変わってきたと書いたけど、なんだかいつもニュートラルな印象は、ずっと変わらない。
そしていつだって、「どこにでも自分らしく立ち向かえる強さ」をお持ちのように感じる。
本によると、心の中に「中学生男子」が住んでいるそうだ。
穏やかである一方で、内側のやんちゃさも小林さんの魅力なのだ。
今回はコロナ禍での暮らしをどうされてきたのかにも触れていて、当時はちゃめちゃに不安定だった私には、この頃もフラットな小林さんの「らしさ」にしみじみとした。
ここ数年、韓国の方が書かれた「私は私のままで生きることにした」のような「不安で生きにくいストレス社会で自身をどうやって保っていくか」がテーマになった本が日本でも人気となっている。
こちらを小林さんも読まれていて、
「ちゃんとしてるとかしてないとか、誰からの目線だ?自分で決めること。自称でいいのだ」
と、実にさっぱりとした感想を綴られていた。
・自立されてる
・暮らしの基盤に「コツコツしっかり暮らす」がちゃんとある
そんな安定されてる方は、
・振り回される必要のないものが分かる
・やらないものはやらない
・楽しいことがわかる
と、さらに「必要不必要」の区別もくっきりして生きやすさを得ている。
スーパーマリオが、さらにスターを得て無敵状態って感じだ。
不眠だ肝臓だと言っている現在の私にはため息モノだけど、今回もやっぱりそんなふうに、小林さんの本から心地よさと元気をいただいた。
私も私なりに、うまく向き合っていけたらいいなと思う。
本は往来堂書店さんで購入した。
オリジナルのカバーが嬉しかった。
・・・・・てんとてん ten to ten・・・・・
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