3月末、バスに揺られて浅草へ。

桜がちらほら咲き始めた日。
喫茶「マリーナ」に行ってきました。
前回の「ミモザ」の記事に続き、今度は向島の「マリーナ」が閉業…
そんなのばっかりや。心が折れるわ。
マリーナはかつて一度だけ訪れたことがあり、鉄板のナポリタンがおいしかったこと、店内が船の中のような凝った内装であること、住宅街にて築50年ほどの古いマンションの1階にある「キュンとする立地」であることなどが印象的でした。
船のような内装と店名は「海のない長野県」ご出身のマスターが、海への憧れからそのようにしたとのことで、同じく「海なし市・旭川」で育った私としては、フフフとなるエピソードでした。
当時配布していたマッチもかわいかったな。
斜め向かいにあった喫茶「カド」もなくなってしまい(移転という形。今は建物の跡形もない…)、この近辺に住んでいて喫茶店をこよなく愛する友人は、それはそれは心が折れておりました。
うむ…。
辛いよな。
「閉業まで心残りのないように、毎日通っているんです。いろんな人とここで最後の時間を過ごしていて。良かったらご一緒しませんか?」と、友人から切ないお誘いを受け、いざマリーナへと向かったのでした。



できたてアツアツのナポリタンは、底の麺は焦げて鉄板にくっついていました。
それをフォークでカリカリっと剥がして食べるのがおいしくて!
なんじゃこりゃ〜、もんじゃのようだ!サイコーと言いながら、むしゃむしゃ食べました。

食後はアイスコーヒーを。飲み干す寸前の写真で失礼します。
オリジナルの伝票がかわいいなと、途中で気づいて…。

レジのテーブルには、友人作のマリーナグッズが飾られていました。
友人が大好きだったというトーストのプレートをステッチ(すごい!)に。
そして店頭の看板をプラ板でキーホルダーにしたもの。
愛を感じるなー。
肝心の船の中のような素敵な内装は、人の多さで撮れなかったけど。
でも、「承認欲求強めな喫茶映えファン」みたいな人たちはあまりいなくて(←なんだこの表現。ほとんど悪口じゃないか)、ほぼほぼご近所の常連さんらしき方々が過ごしていらして、時々静かに熱く喫茶ファンが過ごしていて…という客層でした。
私は時間があれば、マリーナのフルーツジュースやパフェもおいしそうで食べたかったんだけど、そんな日に限って仕事の締め切りが迫っており、泣く泣くあきらめました。
友人はその後も毎日せっせと通い、心ゆくまでマリーナを満喫したようだけど、しばらくは傷心だろうな…
というか、癒えないままだろうなあ…
私もそういう、替えのきかないお店がいくつかあるもの。

訪れた日は「お見事」としか言えないような良いお天気。
桜の木と、隅田川。
「もうめっちゃ“春のうららの隅田川”じゃん!」ってなりました。
武島羽衣&瀧廉太郎も「そうそう、歌にしたかった風景はこれっす!」って言いたくなるんじゃなかろうか、という感じで(ほんとかよ…)。

東京都の桜の木は、今寿命が近いものが多いそう。
倒木の危険から、伐採される木も増えてきました。
桜こそ日本らしい素晴らしい風景…と思っているので、仮に一斉になくなってしまうとしたら、すごく心が折れるなあ。
ただせさえ住みにくさが増してネガティブな印象が強まっている昨今の日本で、さらに桜もなくなってしまったらマジでキッツイ。
だけど隅田川のほとりには、若い桜の木もいくつか植わっておりました。
かわいい!
なんか、すごく嬉しい!
どんどん新しい桜の木が増えていくといいなー。

ただ友人によるとソメイヨシノは樹齢が短いので、もっと長い桜(交配されたもの)を今後はメインに育てていくという話があるらしい。
ウチの近くにも交配種のオカメザクラが咲いているけど、同じくらいの濃いピンクの桜の木が、浅草にも植わっていた。
かわいいけど、これがメインだと濃すぎる。
なんか、嫌だなあ…
あの儚い、淡いピンクがいいなあ…(わがまま)。

マリーナから隅田川沿いの道に戻る最中、モザイク状の道路があった。
「上から見ると隅田川の花火になっているんですよ!」と友人が言うので、土手の階段を登ると、見事な「屋形船」「隅田川花火」だった。

隅田川の土手では「桜まつり」が行われていて、舞妓さん(芸妓さんかな)と触れ合う観光客の楽しそうな様子が見れた。
喫茶店はひとつ、またひとつと閉業してしまうし、桜のある風景もこれからどんどん変わっていってしまうのかも知れないけど、今のうちに目に焼き付けておきたい風景を、たくさん見ることができたひとときでした。
・・・・・てんとてん ten to ten・・・・・