これは、このあいだ御茶ノ水の画材屋『レモン画翠』に行った帰り、喫茶『穂高』で飲んだカルピスです。
さくらんぼもコースターもかわいいですね。
気持ちが丸くなりながら飲んだ。
なんか、よかったな、この時間。
東京もちょっとずつ紅葉がピークへと近づいています。
KANさんが亡くなってしまいましたね。
闘病中なのは知っていたので、ああ、ダメだったんだ(という表現が相応しいかわからないのですが)…なんとなく自分の中で存在することが当たり前だった人が、この世から去ってしまったなと、じわじわと寂しさがおそってきました。
これからこういうことって増えるんでしょうか。
きっとそうですよね。
KANさんというと、北海道でラジオ番組を持っていましたよね。
私は帰省した時に「ラジコ」でその地方のラジオ番組をチェックするのが好きで、特に札幌滞在時は夜にホテルで「AIR-G」や「NORTH WAVE」、「STVラジオ」をチェックしてたんですが、あー今も「STVラジオ」ではKANさんのラジオ番組があるんだなあ、でも今は闘病されているから週替わりの代理MCなんだなあ、なんて思いつつ聴いていました。
戻ってくるの待ってますね!!って代理MCの方がおっしゃっていたのを思い出します。KANさんにMC頑張ってねって言ってもらいました!とも。
9月の、北海道喫茶旅のさいちゅうの話です。
KANさんはかつては「STVラジオ」で、「KANのアタックヤング」をやっていました。
日曜夜だったと思う。
「アタックヤング」は基本、STVラジオのアナウンサーの方が日替わりで担当されていて、有名なところでは木村洋二さんとか明石英一郎さんとか。
なんですけど、日曜だけミュージシャンのKANさんで、当時KANさんは東京から札幌へ週一(だったかな)で通っていたんですよね。
だからKANさんのこのアルバムって、遠距離恋愛の曲とか「千歳」っていう曲がありますよね
私はネットも携帯電話もない時代の田舎の中学生で、当時から夜型で、ラジオは勉強のお供でした。
お供というか…
さぼって絵とか描いてましたね。
そして、夜に聴くラジオというのはなんだかより近くに感じるような、自分のために発信してくれているような、そんな特別な感じがありました。
ラジオ番組名は「KANのアタックヤング」でしたが、オープニングでは「KANさんの〜」ってご自身で言っていました。
KANさんて声が優しいので、しかも音楽がオシャレなので、今考えるとすごく穏やかでいい感じのお兄さんが、週一で田舎者の私に新たなカルチャーを教えてくれていたということになります。
贅沢な時間だったな。
ラジオ、すごくおもしろかったです。
「空きっ腹に団子」っていうコーナーは、タモリ倶楽部「空耳アワー」のような内容で、歌詞の聞き間違いの投稿を聞くのが楽しかったです。
そもそもKANさんという人、そして曲を初めて知ったのは「言えずのI LOVE YOU」でした。
これは漫画雑誌「りぼん」で連載していた吉住渉さんの「ハンサムな彼女」に出てきました。
懐かしい!
華やかな芸能界の話。当時はこの世界観にも憧れがありました〜。
主人公を密かに恋する男の子が、KAN「言えずのI LOVE YOU」の歌詞と自身をシンクロさせて、このアルバムを主人公に貸して…というエピソード。
だけど「言えずのI LOVE YOU」がどんなメロディなのかは、まだわかっていませんでした。
その後深夜ラジオを聴くようになった私は、アタックヤングを聴いている最中に「ん?このKANさんてあの“ハンサムな彼女”に出てきたKANさん?北海道でラジオを!?」となり…。
エンディングで「言えずのI LOVE YOU」が流れた時、「わーやっぱり!」「こんな曲だったんだ!」と繋がりました。
この発見は、アナログ時代の田舎の女子中学生の私には楽しくて仕方なかったです。
中学の私は黒縁メガネで顔も丸くて格好もかなりダサく、「(あの頃の)大木凡人に似てる」と言われても周りも特に否定するものもいないくらいのいけてなさだったんですけど、なのでいわゆる黒歴史の記憶の数々がイヤンなっちゃうんですけど、
そんな中で触れてきたものは確かに自身を形にしてきたので、やっぱりかけがえがない思い出です。
そんないけてない私はKANさんのCDをFUKIDO(=富貴堂。旭川の方にはお馴染み?)でレンタルし、よく聴いてました。
「テレビの中に」
「GIRL TO LOVE」
「野球選手が夢だった」
「ゆっくり風呂につかりたい」
「めずらしい人生」(これがベストアルバムだったかな?)
この辺りを特に聴いていました。
おしゃれなシティーポップ要素もあり、上質なクラシック要素もあり…そしてナイーブで一途で、ちょっとおどけた(自分を道化師のように表現したり…)印象もありました。
なんかおもしろいお兄さんだったなあ(アーティスト写真も夏目漱石みたいなかっこしてますよね)。
ラジオでも、「留守電のメッセージを三分間以上かけて作ったんですよ」って話していたような。「今夜は帰さない」っていうKANさんの曲を替え歌にして。それを最後まで聞かないと留守電のメッセージが入れられないんですって話してたな。
声が不安定な印象なんですけどまっすぐで優しく、なんだかさらけ出してくれている印象があって、KANさんの歌はKANさんにしか表現できないなあと思っていました。
あの曲がそのままKANさんが誰かを思っている歌詞だとしたら、素敵な恋愛をしてきたんだろうねえ、とか。
メロディやアレンジは、全部とってもセンスの良いものばかりです。
いけてない私が何目線だって話ですが、ほんとうに。
「めずらしい人生」「まゆみ」「永遠」「テレビの中に」「東京ライフ」とか、好きな曲がいっぱいあります。
あと、KANさんのピアノの音が素敵です。
ここで今さらメガヒット曲「愛は勝つ」に触れますけど、好きな曲なんですけど、いきなり弾けた曲で大ブレイクしてしまったなあと、むしろこっちの方をイレギュラーに感じてしまう自分がいます。
Mステとか、いっぱい出てたなー。
でも、私の敬愛する草野マサムネさん曰く、ああいった「すべてがサビ」のような曲って難しくてなかなか作れないんですって。
憧れるし作ってみたいって仰っていたそう。
一発屋とか言われてしまうのがもどかしいアーティストっていますよね。
凄いのにね。
「たま」とかね。
同業の方々に憧れられて尊敬されている存在なのに。
そういやKANさんはある年、年明け早々の生番組で「永遠」を弾き語りしていて、私は感動してたんですけど、スタジオのグラビアタレントたちが全然聴かずに大声でおしゃべりしててムカついたな〜。
いきなり思い出しました。笑 今も腹立つな!なんだったんだあれは。
で、あるあるなんですけど、今回訃報を聞き、「まゆみ」をひさしぶりに聴いたら泣けた。
優しい気持ちがいっぱいあった人だったんだろうなって思って。
「人はだれも皆それぞれの悲しみを抱き締めいつも夢を見てるよ」
の部分の歌詞とメロディに、胸が詰まってしまう。
これまでのご自身の人生を振り返った名曲「めずらしい人生」。
KANさん、とてもめずらしい場所にできたご病気だった(メッケル憩室癌)と伺い…。
そんな…と悲しくなってしまった。
これまでこんな優しい歌を歌ってきた人が、最後にはご自身で「めずらしい、かつ幸せな人生だった」と思えていたらいいなあ、と思いました。
そして私も私で、自分の人生を生きていこうと思います。
これからもKANさんの曲いっぱい聴こう。
読んでいただきありがとうございました。
・・・・・てんとてん ten to ten・・・・・
- 東京在住のイラストレーターの日常の記録。
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